日本の温泉地を舞台に、完璧な犯罪を追い求める盗撮グループ「ヴェイル」。リーダーのカリスマ、アキラ（50代半ば、元光学エンジニア）は、望遠レンズと暗号化技術を駆使し、100以上の温泉施設で秘密裏に撮影した動画を闇市場で高額売買。グループは医師、IT専門家、元警官など異色のメンバーで構成され、互いの欲望と技術を結びつける“暗黙の掟”で結束していた。だが、完璧に見えた彼らの帝国は、一人の新メンバーの裏切りと内部の亀裂によって崩壊の危機に瀕する。

前作『闇のレンズ』から2年。盗撮帝国「ヴェイル」の崩壊後、静岡県警が押収した100テラバイトの盗撮データ—被害者1万人以上、80以上の温泉施設に及ぶ闇の記録—は、厳重に封印されたはずだった。しかし、このデータの存在が国際的な闇市場で噂となり、新たな争奪戦の火蓋が切られる。データには、単なる盗撮映像だけでなく、政財界の大物や犯罪組織の機密が隠されており、その流出は社会を揺るがすスキャンダルを引き起こす可能性を秘めている。