192 名無しさん 2024/05/29(水) 20:15:23 ID:j1jm27QY0 民事事件としての損害賠償請求権の消滅時効については、痴漢や盗撮という不法行為の場合、3年です(民法724条前段)。3年の消滅時効の起算点は、被害者等が損害及び加害者を知ったときからです(民法724条前段)。加害者を知ったときはどのようなことを知っている場合を指すのかについて、最高裁判決昭和48年11月16日は、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知ったときを意味すると判示しています。そして、同判決は、基本的に加害者の住所・氏名を確認したことが必要としています。したがって、被害者が加害者の顔を見たが、警察に検挙されず住所氏名は全く不明という場合には、「加害者を知ったとき」には該当せず、消滅時効が始まらないものと思われます。なお、被害者等が損害及び加害者を知らないままで消滅時効にならない場合でも、不法行為時から20年の経過により、損害賠償請求権が消滅することが規定されています(民法724条後段)。この20年での権利の消滅については、消滅時効ではなく、除斥期間とするのが最高裁の見解(最高裁判決平成元年12月21日)です。除斥期間は、消滅時効と異なり、当事者が消滅時効を主張する必要がなく、消滅時効の場合は存在する時効の中断や停止が存在しないとされています。 1 0
民事事件としての損害賠償請求権の消滅時効については、痴漢や盗撮という不法行為の場合、3年です(民法724条前段)。
3年の消滅時効の起算点は、被害者等が損害及び加害者を知ったときからです(民法724条前段)。
加害者を知ったときはどのようなことを知っている場合を指すのかについて、最高裁判決昭和48年11月16日は、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知ったときを意味すると判示しています。
そして、同判決は、基本的に加害者の住所・氏名を確認したことが必要としています。
したがって、被害者が加害者の顔を見たが、警察に検挙されず住所氏名は全く不明という場合には、「加害者を知ったとき」には該当せず、消滅時効が始まらないものと思われます。
なお、被害者等が損害及び加害者を知らないままで消滅時効にならない場合でも、不法行為時から20年の経過により、損害賠償請求権が消滅することが規定されています(民法724条後段)。
この20年での権利の消滅については、消滅時効ではなく、除斥期間とするのが最高裁の見解(最高裁判決平成元年12月21日)です。
除斥期間は、消滅時効と異なり、当事者が消滅時効を主張する必要がなく、消滅時効の場合は存在する時効の中断や停止が存在しないとされています。