自分の「癖」は女性の裸を見たいとか以上に「他人の秘密を知りたい」ってのがあって、子供の頃から友達の家で内緒で勉強机の引き出しを開けたりしていた。
中学生になると町で見かけた可愛い子の後をつけては家を確かめるようになった。
犬の散歩中に古紙回収の教科書にまぎれた日記帳を見つけたこともある。少し離れた町にある「甲子園に出た」という印象しかない高校の女子の日記。
あまりに赤裸々で、当時の自分からしても偏差値の低さを感じさせられる内容の、でもエロい日記帳。
高校生になり彼女ができたが、あらゆることを根掘り葉掘り聞いてメモを作った。
初潮の話、親戚のおじさんから受けたイタズラ、生理の周期も記録した。
初体験を済ませたあともメモに残した。しばらくあと「女の子は一人ではしない」と言っていた彼女が、嘘をついていたことも確認した。
郊外の農村にある平屋の家の彼女の部屋に夜に行ったら、開けたままの窓から、明らかに自分を慰める吐息が聞こえてきた。
小声で「◯◯くん…◯◯くん」と自分の名前を言われてドキッとしたが、バレたのではなく、彼女の想像の中での僕を呼ぶ声だった。
あれは、感動した。
この頃から、見知らぬ家でも中が気になるようになり、自宅から見える範囲の住宅のカーテンが開いていたら、双眼鏡で見るようになっていた。