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「けどな、無理って言われて諦めとったら、ウリたち、いつまで経っても消される側やで」

ソヒョンが言った。

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訴状を提出した日、三人は記者会見を開いた。マイクの前で、ソヨンが訴えた。

「私たちは、声をあげます。あの日、済州島で起きたことは、誰かの過去じゃなく、今も私たちの中で生きています。これは、記憶のための闘いです」

反応は賛否両論だった。

「日本に住んでるのに、なぜ韓国政府を訴える?」

「今さら、何の意味がある?」

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そんな声も少なくなかった。しかし、ネットには共感の声も増え始めた。

済州島出身の高齢者が手紙を寄せてきた。「わしの姉もあのとき死んだ。ありがとう、声をあげてくれて」

在日2世の男性が協力を申し出た。「父はあの事件で日本に来た。死ぬ前に真実を記録しておきたい」

三人は、そんな声をノートに書き留めた。まるで証言集のように。生きた記録として、法廷に持ち込むために。

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