以前勤めていた会社で何人かの同僚の部屋を覗いていた
そのうちの一人に見つかった
なんとか警察沙汰にだけはならなかったが会社は懲戒免職になり慰謝料も払った
「彼女のことが好きで思い余って覗いてしまった。1か月くらいやっていた」と噓をついた
今から思えば、これで済んだのは運が良かったというか、助かったのだと思う
現行犯で通報でもされていたら、もっと取り返しのつかないことになっていたと思う
前の職場でのことは隠し通して、まったく別の町に引っ越し、新たな生活を始めている

バレないのをいいことにだんだんと大胆になっていくし、習慣化してしまう
「自分はバレないだろう」という根拠のない自信まで芽生えたりする
一度、女の子の一人が、玄関のカギをかけ忘れたまま風呂に入ったことがあった
ドアノブに手をかけたら玄関が開いた
部屋の匂いを嗅いだところで怖くなって閉めたが、それ以来、侵入する場面を何度も想像した

会社には嘘をつきとおし、ストーカー扱いで内々に処理してもらったが、実際は違った
地方都市だったので職場の近くに住む独身者も多く、4年間、10人以上を覗いていた
都市部ほどセキュリティのしっかりしたアパートは少なく、そういう意味では条件は良かった
新入社員が入ると飲みに誘ってタクシーで送ったり、いろいろ聞き出して部屋を突き止めた
女子社員だけじゃなく、彼女が来そうな男の部屋も
夜は徘徊して、仮眠程度の睡眠をとって出勤する生活を続けていた

今ほど手軽な機器はなかったけど、撮影や録音を試みたこともある
身近にいる同僚の姿を記録できた時は興奮したし、一部は今も使用している
おぼろげな姿よりも、しっかり記録できた音声の方が達成感があった

やがて、他人の秘密を知ることにも惹かれていった
恋人との会話や営みだけでなく、自分で慰める様子や、横柄な後輩が彼女の前では甘えるところ
全裸はもちろん、一人でくつろぐ様子も興味深かった
それで優越感を覚えたりもしてやめられなくなっていった

帰宅して、ひと休みして、出勤するかのように「さぁ、今夜も行くか」と日課のようになっていた
今でも怖い、いつ再発するかわからないから
ふと「あれだけのことをやっていたのに、警察沙汰にならなかった自分はツイてる」と思うこともある
でも「だからもう一回やってもバレないだろう」とならないように気を付けている

今は、過去の記録を見て、気を紛らせている