「見つけたのは、たまたまでした」

三好教員は、何気なく確認していた学校の備品カメラに残っていたデータに、一瞬息を呑んだ。
映っていたのは、林間学校の宿泊施設の部屋。ベッドの位置と、生徒たちの私服、時刻の記録。
明らかに、生徒のプライベートな瞬間が意図的に撮られていた。

校長に報告したのは、その日の午後だった。
田辺校長は、少し考え込んでから言った。

「……生徒の名前は特定できないんだよね？」

「はい、顔までは――でも、本人にはわかると思います」

「では、あくまで“未遂”。今のところは、校内で処理しよう。保護者には通知しない。
　混乱を避けるためにも、“騒ぎ”にはできない」