8

二人はしばらく無言で画面を見つめ合った。日本の大学院留学という、輝かしい未来への希望に満ちた計画は、インターネットという容赦ない鏡に映し出された現実によって、大きくその色を変えていた。

「ティエリー」マーサは意を決したように言った。

「私たちは、もう一度、他の大学を探してみるべきじゃないかしら。」

ティエリーは少し考えてから、ゆっくりと頷いた。

「ああ、そうだな。どうやら、『低能義塾大学』は、僕たちの求めている場所ではなさそうだ。

僕はバカ田大学について調べてみるよ」

遠い異国の、期待外れの名門大学。二人の友情は、その幻影が崩れ落ちた後に、新たな現実を見据え始めたばかりだった。デンバーの夜空には満月が静かに輝き、パリの街灯は、二人の新たな旅立ちをそっと照らしているようだった。

https://i.postimg.cc/NjZ3tJGV/1745991186600.jpg

1 0

人気の記事