• 266社畜
    2024/11/13(水) 01:07:38 ID:U77d97MIi
    「患者CRAZY編」⑧「被害者2名」

    「Kさん! っ!ほんとにやめてくださいっ!」

    せーりがベッド上て必死に説得を試みる。いくらセクハラ野郎でも患者は患者である。しかも軽度の麻痺がある。お触りに抵抗して怪我でもさせたら大変だという気持ちで「せーり」は説得という道を選んだのだろう。エラいけど、普通にグーパンで殴ってもいいと思う…。

    「○○子〜○○子〜」

    Kさんが我らがリーダーの上半身をお触りしながら、誰かの名前を呟いている…。勿論「せーり」の名前ではない。奥さんのことか…?

    「ち、違います!! 手、退けてください!!いっ゙!?痛いっ痛いっ痛いっ!!」

    …!? どうした「せーり」!何があった!!というか、他のみんなは何してるんだ!! 程よいタイミングで「せーり」を助けないと!

    「あ、お腹つねられてる」

    病室の入口で「はざーど」が冷静に実況を始めた…。お前なんでそんなクールなんだよ…。ほんで相方のバリカンはなにしてんのよ…。

    「……ぁ……ぁ…」

    パニクっているのかただ呆然と眺めているだけだった…。自分がされてるわけでもあるまいし…。肝心な時に動けないのは相変わらずである…。

    「リーダー!!」

    1番先に救出に動いたのは陰ちゃんであった。すぐさま「せーり」を患者Kさんから剥がそうと、せーりの上半身を抱ようとする。おそらくベッドから引きずり下ろすような形で助けたいのであろう…。だがしかし…。

    「……あっ!」

    「へへっ…!やりぃ」

    せーりを助けるために患者Kに近づくのはあまりにも無謀だった…。

    「んだ?おまえさん小せぇな〜」

    陰ちゃんの胸がKさんの動かしづらい左手で揉みしだかれている…。おまえさん本当に麻痺してんのかよ…。あまりに衝撃的なセクハラを受けてしまった陰ちゃんは何も出来ず、せーりと顔を見合わせている…。痴漢に遭ったときってこんな感じなんだろうな…。

    「おっおっ? おまえさんのがおっきいね。顔はあんま好かんけど」

    「……っ!?」

    自分のせいで陰ちゃんが被害者になってしまったことへの罪悪感で脱力してしまったのか、抵抗を緩めた「せーり」もまた患者Kによるバストチェックを受けることになってしまう…。しかも、より自由な左手で…。ちなみに社畜は断然「せーり」派である。
    両手におっぱい抱えたモンスターを止める者はいませんかー!! あまりにも酷い光景なので、外部に助けを求めようとしたその時…。

    パァン!!!

    「……いでっ! おめぇ! 何だこの野郎!!」

    バリカンが目にも止まらぬ早さで痴漢現場に移動し、容疑者もとい患者Kの顔面を平手打ちしたのだ…。やるぅ〜。いやでもこれでいいのか…。社畜もボコボコにしてやりたい気持ちだったが、まさか本当にやるとは…。しかもあの臆病で優柔不断なバリカンが…。なんかこういうセクハラとかで嫌な過去があるのかな…。

    「…ハァ…ハァ…職員への嫌がらせはやめてください。看護師を呼ばせて頂きます!」

    ショックの反動で患者Kの手の力が緩んだのだろう。せーりと陰ちゃんは勇ましいバリカンの背中の後ろに移動している。

    「あ…ありがとう…ご」

    せーりが上司にお礼を述べようとしたその時…

    「あーあ、やっちゃったね〜」

    ……! まさかのラッパー再登場である。
    ▶︎次回「沢山の本当」
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