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「患者CRAZY編」①大人の魅力

『ジョボボボボボ』
自宅にて画面越しにスレンダーの排尿姿をマジマジと見つめる社畜。前回の物語で遂に禁断の御手洗交渉を成功させてしまってから、社畜はスレンダーに夢中である。

「い、痛っ……。はぁ…」
股間を拭きあげ、腰を上げると同時に腰のヘルニア痛に襲われるスレンダー。苦痛に耐えた後のため息は自分の情けなさを感じているのか、それとも交渉を後悔しているのか。毛虫みたいなチョロチョロした陰毛をこちらに見せつけながら、着替え交渉で何度も見てきたパンティを気だるそうに履く。

はい、ここで逆再生。また会ったね、毛虫ちゃん
もうこのような流れを10回ほど繰り返している。社畜は大人の魅力にハマってしまった。

20歳代の「せーり」や陰ちゃん陽ちゃんには無い独特な魅力。40代女性、いやスレンダーは特に中古というよりヴィンテージ物といった感覚に近い興奮…。あ、またパンティ履いちゃった。逆再生。

片手でゲーム機のコントローラーを操りながら、もう片方の手でスレンダーの糞のついた検便スティックを鼻の手前に持ってくる。

あぁ…これは飛びそう…。やばい…。HENTAIプレイ「極」を体感。しかしこんな時に限り、携帯の通知が鳴る。電話のようだ…。『職場』である。

職場からの電話ほど萎えてしまうものはない。社畜はそっと股間をしまい、携帯を手に取る。

「あ〜、社畜ぅー? ごめん!夜勤明けなのに!」
つい先程までお世話になっていたスレンダーから電話だった。少し股間が元気になる。

「昨日の夜に起きたことなんだけど、もうちょっと詳しく教えてくれない? なんか大事になりそうだからさー」
昨日の夜どころか、今起きてますよ、我股間。おまけに糞を嗅ぎながら、御手洗シーン見ながら、電話しながら耳の中までスレンダー!!

「…、社畜ぅ? 聞いてるー?」
あ、やばい。果ててしまった。つい、大体の五感をスレンダーに独占されてしまったのでスピードでクライマックスを迎えた…。スレンダー恐るべし…。なんだっけ…。あ、昨日の夜勤のことか…。

確かあれは…。ほわんほわんほわん(回想)

「陰ちゃん、寝ないの?」

「はい、自宅以外で基本は寝たくないです」

「いや倒れるから寝たほうがいいよ。せーり…いやリーダーも言ってたでしょ?」

真夜中のナースステーションにて陰ちゃんと副リーダーのバリカンの会話が聞こえる。

「リーダーは『休憩時間は好きなことしていて大丈夫』と言っていました、なのでここで待機してます」

「いや、そういうことじゃなくて…。休憩時間くらい、ケータイとか触っててもいいんじゃない?勿論、ここじゃなくて休憩室で」

バリカンの仕事に対する姿勢は相変わらず、ルールに厳しい。しかし、少しづつ柔軟になり始めている。

「…陰ちゃんは彼氏とかいるの?」

バリカンらしくない質問だ。おそらく陰ちゃんをリラックスしてあげようと考えているのだろう。なんだかんだで初夜勤である陰ちゃんへの、彼女なりの気遣いを感じた。

しかし質問の内容が内容である。
社畜は現在、バリカンに彼氏がいないことを把握済である。バリカンのSNSやメッセージ履歴は逐一、スマホを借りてチェックしているからだ。「彼氏いない」と答えたら「一緒だねー!」とでも言うつもりなのか。

「そういうの嫌です」
陰ちゃん、遠慮なく拒絶。
御歳三十歳のバリカンは、ヤングな陰ちゃんから見ればダルいおばさん先輩に見えるのだろうか。
それはそれで興奮してしまう。

「……」
答えを失ったバリカン。
そしてこの後、事件が起きる…。

▶︎次回「初めての…」 へ続く

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