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>レオンは、まるでその場にいたかのように、具体的な情景を描写し始めた。

>「家事、育児と仕事に追い回され、酒席で悪酔いした件の女検事が、尊敬する先輩である検事正に近況を尋ねられる。

すると彼女は、『毎日毎日、来る日も来る日も色んな性犯罪が私の所に送致されて来るので、もうすっかり供述調書を書くことに慣れてしまい、目を瞑っていても書けるくらいです。でも、未だに被害に遭った人の心理が全く分からないので、自分の供述調書が本当に正しいのかどうか分かんないんですよねえ。どうしたら良いですか、教えて下さ~い、先~輩~』と、甘えるような表情で真っ直ぐに検事正を見詰めた」

>レオンはそこで言葉を区切り、考察を続けた。

>「検事正は、彼女のそんな様子を見て『…だいぶ酔ってるな。そうかそうか』と呟いたのではないか。

法曹家、特に検事という職務に就く者の視点に立てば、彼女のリクエストは**『性交等の同意』には当たらないかもしれない**。

だが、**一般人の感覚から言えば、彼女の発言や仕草は『性交等の同意』乃至『SMプレイのオファー』に他ならない**のではないかと思うんだ。

そして人生の大ベテランである検事正は世間一般の感覚で件の女検事の質問に答えて上げた。」

>ダイアンは驚いたように目を見開いた。

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>「《『未だに被害に遭った人の心理が全く分からないので、自分の供述調書が本当に正しいのかどうか分かんないんですよねえ。どうしたら良いですか、教えて下さ~い、先~輩~』と、甘えるような表情で真っ直ぐに検事正を見詰めた。

検事正は、彼女のそんな様子を見て『…だいぶ酔ってるな。そうかそうか』と呟いた》という遣り取りを どう解釈するかね。

つまり、その女検事の意図と、検事正の受け取り方や世間一般の常識との間に、大きな乖離があったと?」

>「そういうことだ」

>レオンは頷いた。

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>「恐らく、夫以外との性交経験が数える程しかない件の女検事は、『尊敬する先輩検事に言葉による助言を求めただけ』の積もりだったのかもしれない。

しかし、それは明らかに、性欲旺盛で健康な成人男女から成る世間一般の常識から懸け離れている。

まるで、性交同意年齢に達する前の女子中学生が、異性に対して無邪気に接するような感覚とでも言おうか」

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