• 42風封師
    2024/12/10(火) 05:53:50 ID:..ODrALc0
    もちろん、本業に関わる仕事で障害者を雇用するのがベストだ。企業だってそうしたいだろう。ただ、そのニーズがない時はどうするのか。障害特性上、できる業務に制約のある人もいる。当社はそうした方々と、本業では雇えない会社をつないでいるだけだ。

     私はこの事業を始めた当時、さまざまな障害者雇用の現場を視察した。その中には、オフィスの一室でシュレッダーを1日中かけさせている会社もあった。「本業に関わってさえいればよい」という考えには違和感を覚える。

     農園就労は雇用側のサポートがないと成立しない。企業側は監督者を農園に常駐させ、本社部門の人も定期的に様子を見に来る。

     ケアは本当に大変だ。服薬しすぎて体調を崩すとか、朝起きられなくて来ないとか、トラブルは日常茶飯事。それでも顧客企業は障害者と真摯に向き合っている。「隔離」と言われるのは納得できない。

     ――とは言っても、農園での就労は障害者のキャリアアップにならないのでは? 

     障害の程度によって能力開発のフェーズは全然違う。コミュニケーションを上手に取れなかった人があいさつする。引きこもってゲームばかりしていた人が毎日出勤する。農作業を通して見られる、こうした変化もすごい「キャリアアップ」ではないか。

     そのまま農家に転身したり、企業側に誘われて本社勤務になったりする例もある。ただ、知的障害者の中には、安定して農園で働き続けたいという人も多い。健常者の誰もが管理職への昇進を望むわけではないのと同様に、障害者雇用でも当事者の意思を踏まえてキャリアを論じるべきだ。

    ■「丸投げしたい」企業とは契約しない

     ――農園の利用企業は「雇用率を金で買っている」とも指摘されます。

     お金は払うので障害者雇用を丸投げしたい、という話が来ないわけではない。ただ、当社はそういう相手とはいっさい契約しない。創業時からのポリシーだ。まだ赤字だったころ、喉から手が出るほど受注が欲しくても、これだけは貫いてきた。
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