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幻の演奏会 ⑲突然の棄権

それからは憂鬱な日々が続いた。

市民祭りまで残り1週間。
社畜達は一体何をやらされるのか分からないまま
不安な気持ちで仕事をしていた…。

スレンダーも「もうどうにでもなれ」といった態度で
開き直っている。
ゲーマーも「なんとかなるでしょ〜」と能天気。
バリカンは落ち込んでおり、セカンドは通常運転。

滅茶苦茶なユニットのせいで、笑いものとして
市民たちに晒されることになると分かっていながらも
誰1人行動を起こす気力はなかった…。

が、しかし奇跡は起きた。

休憩中の医務室へ意外な来客が訪れたのだ。

「あの…演目を辞退したいんですが…。
もう遅いですか…?」

突然の棄権宣言はラッパーとバンドガールから
行われた。
スレンダーとゲーマーは自分の耳を疑う。

「あまりに出来が悪くて…。迷惑かけるかなと
思ったので…。はい…。」

スレンダーは「そう思うのなら」と辞退を承諾。
ゲーマーは意外にも「そう言うのなら」と納得した。

ものの5分で今まで悩んでいたことが決着した。

しかし社畜はこのあっさりな展開に違和感を感じた。

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