• 616社畜
    2022/09/30(金) 22:23:46 ID:7J354Dh.i
    「幻の演奏会」 ⑥ゲーマーと武道

    「おっつ〜武道〜」
    ゲーマーが友達感覚で挨拶をする。

    「うっす。ラッパーから聞いたんすけど、
    バンドガールって職員がバンドやってるらしいっす。そんでゲーマーさんにスカウトお願いしたいんすけどいいすか?」

    言葉遣い……。部活じゃないよ?ここ職場だよ?

    「へぇ〜知らなかった〜。いいよー!言っとくー」
    「うっす。お疲れっす。失礼しやした」

    しやした……。

    武道が去ったことを確認したゲーマーが口を開く。

    「あいつやばくない? すごい苦手なんだけど。
    ラッパーといる時は何とかやり過ごせるけど
    ピンであの相手はキツいキツい……。
    ここクラブ活動じゃないんだよ? マジ無理〜。」

    武道に関してはゲーマーと気持ちがシンクロしていたらしい……。嬉しいような悲しいような……。

    「ね、スレンダー?よくあれでここに採用されたのか
    マジ疑問じゃない? ねぇスレンダー?聞いてる?」

    ゲーマーが子供のようにはしゃいでいる。


    「うん。ちゃんと聞いてる。そして『聞かれてる』」

    スレンダーが扉のガラスの向こう側に移るシルエットを指さす。

    「武道に」

    そこには確かに武道のシルエットがあった。

    「あ、違っ……」とゲーマーがフォローに走ろうと
    したが、シルエットは姿を消してしまった。

    あーあ、気まずいやつだ。

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