-
-
「バリカン感染事件」惨劇へのカウントダウン②
看護主任 スレンダー
彼女も股間ビギニング以降、主任の座についていた。
行動力と判断力が長けていることはBOSSが1番、
分かっていた。
バリカンがうんゲロ担当することにスレンダーはすぐ承知した。
愛弟子のバリカンを信頼していたからだ。
「と、いうことでバリカンさん、お願いします…」
防護服を身にまとったバリカンへエールを贈る。
「はい! 明日は社畜さんが担当してくださいね!
私が色々教えてあげますから!(笑)」
この態度が鼻につく…。悪気はないのだろうが…
堂々とバリカンは例の患者さん部屋へ入っていった。「こんにちは! 担当させて頂く『バリカン』と
申します!早速ですが……ゴロゴロゴロ」
患者部屋のスライドドアが閉まる音と同時に
バリカンの声もシャットアウトされた。
「リーダー、ほんとすごい!皆のお手本だよね!」
「うんうん!とっても丁寧だしね!」
後輩達が勤務室で盛り上がっている。
「でもさ、教科書読まされてるのと一緒だよ?
1番大切なのは 応用力。 予想しないことが起きた
場合に発揮する力が必要なの。リーダーにはまだ
それが備わっていない…。」
副リーダーのセカンドが場を引き締める。
そう。セカンドの言う通り。
バリカンはまだ未熟だ。
惨劇へのカウントダウンが今、スタートした。
「リーダ〜!ちょっとこの書類なんですけど…」
後輩(男)職員がバリカンに声をかける。
「んっ? ああそれね、これはね…」
バリカンは事細かに丁寧に後輩に教える。
3ヶ月前の股間ビギニング事件以降、新しくリーダーの座に着いたバリカン。元から後輩に物事を教えるの
事が得意だった彼女にはうってつけの役職であった。
いや得意というより教えたがりと言った方が良いかも
しれない。
「リーダー!ありがとうございました〜!」
後輩(男)はすっきりした表情で勤務室を後にする。
同じく自己満足してそうな顔をしたバリカンが言う。
「あの、社畜さん…。あの例の患者さんのお部屋、
担当私がやってもいいですか?下手に経験がない
職員が対応しても余計拡がるだけかと…。」
霊の患者さん
霊なのでいない=空きベッド
空きベッド=イケメン×かえで
あぁぁぁ!! 嫌なこと思い出した!
もとい例の患者さん
上下の口から汚物が出ちゃう「うんゲロ」ウィルスに
感染されてしまった患者さんのことである…。
適切な処置をしないと自らも感染してしまうため、
細心の注意を払って、対応に臨まなければならない。
さすがリーダー。自ら挙手をしてまで…。
「えっと…。主任にきいてみなければ分からないので
聞いてきます!」
社畜には何も権限はない…。