• 794社畜
    2022/10/16(日) 15:06:17 ID:ny4zcclsi
    幻の演奏会 ⑱決着のはじまり

    大の大人が壁に耳を当てながら盗み聞き。

    「…何してんの?」
    その問いかけはこの状況で1番適切である…。

    「あ…あ…ねぇ?」
    スレンダーはセカンドに問いを問いで返す。

    「……演奏会の話?聞いたよ。大変そうだね。
    でも今更演目を変更するにしても何をするの?」

    何も回答が浮かばない…。

    そもそも何故31歳のセカンドが社畜はともかく、
    42歳のスレンダーとタメ口で渡り合えるのか…

    理由は2つ。

    ①BOSSのお墨付き
    BOSSとセカンドは元々以前の職場が一緒だった。
    転職したBOSSが社畜の職場のトップとなり、
    優秀なセカンドを引き抜いて入職させたのだ。
    スレンダーもこの件については一目置いている。
    ちなみにこの話についてセカンドはあまり自分からは話さない。

    ②副リーダー就任後、バリカン事件大活躍
    バリカンの補佐的なポジションについたセカンド。
    感染事件以来、バリカンが思った以上に使えない事に
    ショックを受けたスレンダーはセカンドを頼りにする場面が増えた。そして、距離感の近くなった2人は
    自然とタメ口で会話するようになったのだ。

    「何も意見がないのなら、もう諦めるしかないね。
    良いじゃない。ある意味人気な病院になるよ。」

    セカンドは他人事のように笑いながら語る。

    これにも理由がある。
    セカンドはバツイチかつ沢山の子供達と生活しているので、決まった時間に退勤しないといけない。
    よって今回の市民祭りには不参加確定なのだ。
    社畜達がどんな笑いものにされようと関係ないのだ。

    「お客さんだってそんなに期待してないと思うから。大丈夫でしょ。てかそんな盗み聞きしてる暇があるのなら、現場を手伝ってよ社畜。」

    強制的に医務室から連れ出される社畜。
    その時休憩室からバリカン達の姿を確認できた。

    「ぇ」
    バリカンが泣いている……。
    チェルシーとガーディアンが慰めている。
    第三者はバリカンの頭皮を見ている気がする。
    なにがあったのだろうか。

    「……」
    確実にセカンドも目撃していたが何も言わず黙々と
    現場へと向かう…。

    泣いてるのあんたの上司ですよ…。

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